前回まではサレンダー、明け渡しが無ければ本当の瞑想はやって来ないという話だった。
前回のお話
瞑想状態がやって来る…
今回はその続きで、ではどうすれば明け渡しが出来るのだろうかという事について。
ちなみに、文章を書いている時は一種の言霊が降りてくる感じになる。
であるから、若干文体は変わるし、句読点も自然と打たなくなるので、そのまま載せておく。
実はこれも逆説的にではあるが
明け渡すには明け渡すものが必要だ
最初から何も無ければ、何も渡せない
つまり、自我を明け渡すには自我の構築が必要だ
熟成と言ってもいい
例えば生まれたばかりの赤ん坊は明け渡しきっている
自由だ
しかし、それをもって完成とは言わない
なぜなら、明け渡しとはあくまで相対的なものだからだ
自我を形成し
必要な経験を経て
からの明け渡しで無ければ明け渡しとはならない
例えばあなたは平日の会社勤務があるから
土日の休日が楽しめる
もし、平日の仕事が無くなったら
以前のような土日の開放感は味わえないだろう
拘束と自由は表裏一体だ
35度を超える猛暑でも一生懸命に働いたからこそ
仕事終わりのビールが旨い
もし、冷房が完備したところで一日中寝て過ごし
ビールも朝から飲み放題だと
あの仕事終わりの旨さは味わえないだろう
欠乏があって充足がある
不満があって満足がある
これがこの世の理
二元性のマーヤな構造
悟りや瞑想もこれと一緒で
拘束された肉体や制限された思考や感情があるからこそ
そこから解放された自由がある
これ故に、悟りの認識を起こすためだけに
地上に人として生まれる魂もある
もっとも、この制限と解放のサイクルを経験したくて我々はこの地に生まれてきた
もともと翼がある魂だとも言えるわけだが
これはちなみにの話ではあるが
実は私達が夢中になるもの
酒、もしくは薬物的なもの
ギャンブル
性的なもの
などのいわゆる飲む打つ買うと言われているものから
スポーツ
ゲーム
映画やドラマ
趣味
などの娯楽と言われているもや
仕事
夢中になっている主義主張
なども、拘束された肉体や制限された思考や感情から解放する作用が一時的にはある
仕事で富を築いたビジネスマンの成功の要因は
家庭生活に耐えきれずに仕事に打ち込んだなどどいう事もある
つまり、私達は一時的にではあるが
このような娯楽や夢中になれるものを使って
拘束された肉体や思考・感情を忘れ
一時の自由を満喫している
しかしながら、酒にしろギャンブルにしろ
通常の娯楽にしろ
夢中になれる仕事にしろ
それで解放される時は短い
また、中毒性もあり心身も蝕まれ
それを手に入れる労力と時間も膨大にかかる
思い当たる節はないだろうか?
あなたが望む家や車やポジションやライフスタイルを手に入れる為に
どれほどの人生の時間と労力を費やさねばならぬかを
しかしながら、この私達の本性に基づいた悟りの意識による自由は
この世界の娯楽のように対象を持たずして発生する至福だ
それ故に悟りは古来から尊重され憧れの対象
もしくは幻想のベールに包まれていたが
本質的には私達に内在するごくごく自然な意識でもある
ただ、その至福の発生を対象に依存するか
対象を必要とせずに包まれるか
また、刹那で終わってしまうか永続するかの違いだけだ
とにかく解放する為には、その解放する自我を構築していく必要がある
であるから、この世界で揉まれ悪戦苦闘する我々の体験は
別に無駄なものでは無い
なぜなら、その経験によって自我の構築と成熟が行われるからだ
もっとも、これには幾多の輪廻を経なければならない場合もあるが
悟りというこの世的には何の生産性のない奇妙なものへの憧憬をおぼえるあなたには
今回がその生かもしれない