前回の話は瞑想で座るという行為は実は上級者向きだという話だった。
なぜなら、座ろうとしている時点で瞑想に入りたいとか良い体験がしたいという目論みがあり、座るということでその意図を強化してしまっている。
結局、それが瞑想状態がやってくるのを阻害してしまっているという話になる。
前回の話
瞑想と花火 座って瞑想する罠 座った時点で目論みが体験を阻害する理由
量は質を凌駕する
それを回避するためにはいくつか方法があって、まずは量をこなすのが重要だという話だった。
まあ、この辺は諺で「量は質を凌駕する」みたいな言葉があるが、どんな分野にしろある程度の量をこなさないと上達はしないという話になってくる。
ただしだ。
一回体に染み込めば、あとはそれほど毎日やる必要は無い。
脳と神経が憶える
自転車に乗るのと一緒で、最初に乗れない時はある程度練習しなければ乗れるようにはならない。
しかし、一度自転車に乗れてしまえば、脳や体の神経が憶えるので、何年も乗らなくてもまたすぐに乗れるようになる。
実は瞑想もこれと一緒。
いくら話を聞いたり理論を学んでも、体の神経が憶えないと瞑想出来ない。
逆に一定レベルに行けば、瞑想しようと思わなくても気づけば日常生活中に瞑想状態に包まれるようになってくる。
座らないで瞑想
ということで、昨日の続きで座って瞑想するパターンともう一つあるという話だった。
シンプルにいうと座らないで瞑想するわけだ。
- 座ろう
- 綺麗な姿勢を保とう
- 正しい姿勢を保とう
- 瞑想に入ろう
という意図が邪魔なわけだから、座らなければいいという話になってくる。
この辺はdeepというプログラムで詳しく取り上げている。
睡眠
実は私達は毎日、意識の深いレベルまで降りていっている。
そう、睡眠である。
ただ、深い瞑想と睡眠の違いは…
「意識を保持できているかどうか」
とも言える。
簡単にいうと睡眠に入る時に意識を失わずにいれば、ある種の瞑想状態になると言えるわけだ。
命綱
ではどうやって意識を失わずに、つまり眠らずに体を横にした状態で深い領域に入っていけるのか?
一言で言えば命綱を用意する。
つまり、深淵なる意識の底に降りていく時に意識を失わすにキープしておく命綱だ。
オーソドックスな方法としては呼吸を使う。
また、少し高度な方法としては体のある部分を使っていく。
ちなみに、なぜ呼吸を使うのかというと理由がある。
呼吸を使う瞑想
考えてみれば、禅でもヨガでも瞑想する時に呼吸を使っていないだろうか?
- 呼吸を観察したり
- 呼吸の数を数えたり
- 腹部の動きを観察したり
する瞑想技法は多い。
ではなぜ呼吸なのか?
呼吸はハーフ
これにはいくつか理由がある。
まず、呼吸というのはハーフな存在だからだ。
ハーフな存在というのは、人間の神経や筋肉には意識的にコントロール出来るものと出来ないものが存在する。
随意運動、不随意運動ともいうが、例えば腕は随意運動で意識的にコントロール出来る。
コップを持とうと思えば持てるわけだ。
しかし、胃や腸などは不随意で動かそうと思っても普通は自由に動かせない。
でだ、どちらかというと瞑想状態といか私達の奥深くにある本質的な意識も不随意的な存在だと言える。
つまり、意識的にコントロール出来ないわけだ。
呼吸で不随意をコントロール
ここで呼吸の登場である。
呼吸はハーフだと言ったが、随意と不随意の両方の働きを持つ。
つまり、呼吸はある程度意識的にコントロールは出来るが、コントロールしなくても勝手に動いているという半分半分の性質があるからだ。
おまけに、呼吸はハーフなので両方の橋渡し的な働きがある。
つまり呼吸を使って不随意である神経や筋肉に働きかけることが出来るわけだ。
よく緊張したら深呼吸をしなさいみたいな話があるが、それがその働き。
また、スポーツなどでも息を吐くときにインパクトを与えると力が出るとか色々な働きがあるが、これなども呼吸の性質を使っている。
瞑想においても呼吸を上手く活用出来ると、かなり効率的にセットアップ出来るという話になってくる。
動くものに集中しやすい
呼吸のもう一つの働きとして…
「動いている」
ということが言える。
当たり前に聞こえるかもしれなが、呼吸は自動的に動き続けている。
これが重要な要素。
なぜなら、私達の意識の注意力は静止しているものより動いているもに意識をフォーカスしやすいからだ。
これはおそらく、生物としての危険回避や食糧の確保のために発達している能力だと思われる。
8時間座る
猫などの動物もチラチラ動いているものに対して異様な集中力と反応を示すが、私達人間もデフォルトは動物なので同じと考えていい。
単純にいうと、退屈で10分も座って瞑想出来ない人がゲームをぶっ通しで8時間以上座って出来たりする。
あれは画面の中に動きがあるからだ。
もし、動きのない画面だったら1分も集中出来ないだろう。
テレビとか映画などもそう。
8秒の脳
もちろん、ストーリー云々の要素はあるが基本的には画面の動きだ。
ちなみに、マイクロソフトのカナダの研究チームの実験では人間の注意力が持続する時間はなんと…
8秒
という結果が出た。
これは約2000人の参加者の脳波を測定した結果らしい。
それほどデフォルトの状態では集中力を持続するのは脳の仕組みから言って困難だという話。
であるから、基本的な話としては静止しているものよりも動きのあるものに意識を集中しやすい性質が私達にはあるというのが重要なポイントになってくる。
つまり、自動的に動いている呼吸は意識を集中しやすいという話になる。
ではどうやって呼吸に意識を集中するかだが、これには色々な技法というかコツがある。
例えば
続く…